こんにちは、RYO英会話ジムのリョウです。
AIの翻訳や通訳機能は、驚くほど進化しています。
スマートフォンに向かって日本語で話せば、すぐに英語へ訳してくれる。相手が話した英語も、ほぼリアルタイムで日本語に変えられる。
海外旅行だけでなく、オンライン会議や仕事でも、AIを使えば言葉の壁はかなり低くなりました。
そうなると、こんな疑問を持つ人もいると思います。
AIが通訳してくれるなら、これから英語を自分で話せるようになる必要はないのでは?
僕自身、英語コーチとして、この問いについて何度も考えてきました。
しかし今回、上海と釜山を移動しながらノマド生活をして、ひとつの答えを確信しました。
AIは言葉を訳せても、人とのつながりを代わりに作ることはできません。
なぜなら、会話はただ意味を交換する作業ではないからです。
表情、目線、声のトーン、間、感情、その場の空気。
そうしたものが言葉に重なったとき、初めて会話に血が通います。
ホステルの朝は、自然に会話が始まる
今回、上海と釜山ではホステルに滞在しました。
ホステルの面白いところは、ただ安く泊まれることではありません。
同じ場所に、さまざまな国籍や人種、年齢、職業の人が集まることです。
特に会話が始まりやすいのが、朝の時間です。
これからどこへ行こうか考えている人。
コーヒーを飲みながら、少しリラックスしている人。
朝食を食べながら、その日の予定を確認している人。
まだ一日の疲れがなく、みんなの中にエネルギーが残っています。
そんな空間で少し目が合い、
“Good morning.”
と挨拶すると、そこから自然に会話が始まります。
もちろん、誰とも話さないという選択もできます。
スマートフォンを見ながら朝食を取り、そのまま観光や仕事へ出かけてもいい。
でも、それでは自分の世界は何も広がりません。
旅をしていて強く感じるのは、その土地の記憶に色を与えるのは、最終的には人との出会いだということです。
景色や建物、食事も記憶には残ります。
ただ、人と出会って話したとき、そこに感情が生まれます。
驚いたり、笑ったり、共感したり、自分とは違う考え方に刺激を受けたりする。
その感情が、旅を単なる移動ではなく、自分だけの経験に変えてくれます。
人との出会いがまったくなければ、その旅は僕にとって、どこか「無」に近いものになってしまいます。
上海で、中国人女性との出会いが旅に色をくれた
上海では、ホステルでハンナさんという中国人女性に出会いました。
彼女は日本の旅行会社で働いていて、日本語がとても流暢でした。
日本のドラマが好きになったことをきっかけに日本語を学び、語学学校へ通い、日本へ留学し、最終的には日本企業で働くようになったそうです。
言語を学んだことで、彼女の人生は大きく広がっていました。
僕自身も、英語によって人生が変わった一人です。
海外で働き、さまざまな国で生活し、今ではノマドとして世界を移動しながら仕事をしています。
だからこそ、彼女の話を聞きながら、
言語は、単に情報を理解するための道具ではなく、人生の選択肢を広げるものなんだ
と改めて感じました。
その日は、ハンナさんと一緒に上海の街を2万歩以上歩きました。
新天地、お寺の周辺、豫園、外灘。
仕事、日本、中国、旅行、そして人生について、ほぼ一日中話しました。
上海の美しい景色も記憶に残っています。
でも、今回の上海で一番強く残っているのは、どの建物を見たかではありません。
ハンナさんと一緒に歩き、話し、笑った時間です。
彼女との出会いが、僕の上海滞在に色を与えてくれました。
関連記事:
【上海ノマド体験記】中国人に助けられた。ホステルで出会った日本語を話す彼女が、僕の上海に色をくれた話
釜山では、“Good morning.”から世界が広がった
釜山の海雲台にあるホステルでも、朝のダイニングで一人の女性と目が合いました。
僕が、
“Good morning.”
と挨拶したことから、会話が始まりました。
彼女の名前はジェイド。
ニュージーランドで生まれ育ち、両親はシンガポール出身でした。
最初は英語のアクセントの話をしていただけでした。
しかし、そこから旅行、仕事、長期休暇、働き方、家族のルーツ、これから訪れる沖縄や東京の話へと、どんどん広がっていきました。
彼女は会社と交渉し、2か月間の休暇を取ってアジアを旅していました。
そのうち1か月は無給休暇だったそうです。
その話を聞き、制度が用意されているかどうかだけではなく、自分で交渉することで人生の選択肢を広げられるのだと気づかされました。
朝食を食べに行っただけなのに、短い挨拶からニュージーランド、シンガポール、韓国、日本の文化や働き方まで話が広がったのです。
もし、あのとき僕がスマートフォンだけを見ていたら、会話は始まっていません。
関連記事:
「Good morning」から世界が広がった。釜山・海雲台で体験した、暮らすようなノマド旅
日本が大好きなイタリア人と、政治や移民、将来の夢を話した
釜山では、別の朝にイタリア人の若者とも出会いました。
彼は20歳で、日本が大好きだと言っていました。
日本語を学ぶため、日本の日本語学校へ通う予定があり、現在は京都の河原町で働いています。
彼には日本人の彼女がいます。
彼女は彼より年上で、もうすぐイタリアへ帰る予定だそうです。
遠距離恋愛を続けるというより、彼女もワーキングホリデーなどを利用して、イタリアで働きながら一緒に生活することを考えていると話していました。
そこから、日本の政治、移民問題、イタリアの移民事情、仕事、恋愛、そして将来どんな人生を送りたいかという話まで広がりました。
最初から政治や人生について話そうとしたわけではありません。
出身地や日本の話をしているうちに、自然と会話が深くなっていったのです。
これが、実際の会話の面白さです。
軽い挨拶から始まり、相手の反応を見ながら質問する。
相手の答えから、新しい疑問や興味が生まれる。
気づけば、数分前まで知らなかった人と、人生や社会について話している。
会話は、最初から完成した台本に沿って進むものではありません。
その場で形を変えながら動いていく、生き物のようなものです。
この会話をAI通訳でしても、きっと面白くない
イタリア人と話しながら、ふと思いました。
このやり取りを、毎回AIに通訳してもらいながら行っていたら、きっと何も面白くない。
僕が日本語でスマートフォンに話しかける。
AIが英語へ訳す。
相手がその英語を聞く。
相手が英語で返す。
それをAIが日本語へ変換する。
意味は正確に伝わるかもしれません。
しかし、その間、相手は待たなければなりません。
会話のテンポは止まり、その場にあった熱も少しずつ冷めていきます。
会話は生き物です。
相手の言葉にすぐ反応する。
思わず笑う。
驚いた表情を見せる。
少し考えてから答える。
相手の声のトーンから、本音なのか冗談なのかを感じ取る。
そうした細かな反応が連続することで、会話の流れが作られます。
ところが、その間にAIやスマートフォンが入ると、
自分 → AI → 相手
という順番になります。
本来は中心にあるはずの表情や声、感情、目線が、セカンダリーなものになってしまいます。
情報は伝わっても、「この人と直接話している」という感覚が薄くなってしまうのです。
会話中は、一切スマートフォンを見ない
僕は誰かと会話しているとき、基本的にスマートフォンを見ません。
言葉がすぐに出てこなくても、AIや翻訳アプリを開かない。
知っている言葉を使い、別の表現で説明し、表情やジェスチャーも使いながら、相手に直接伝えます。
それは、単なるマナーの話ではありません。
目の前の人との時間に、完全に入るためです。
スマートフォンを見なければ、相手の表情の変化が見えます。
声の温度を感じられます。
相手の話から次の質問が自然に浮かびます。
自分がうまく言えずに笑ったとき、相手も笑って助けてくれることがあります。
言い間違いや、言葉に詰まる時間でさえ、コミュニケーションの一部になります。
英語を間違えないことよりも、目の前の人に意識を向けることのほうが、ずっと大切です。
言語は、自分で人に使って初めて意味を持つ
言語は、単語や文法の知識だけで完成するものではありません。
自分の気持ちを乗せて、人に向かって使ったときに、初めて本当の意味を持ちます。
「あなたのことを知りたい」
「自分のことを伝えたい」
「その考え方は面白い」
「もっと話を聞かせてほしい」
そんな気持ちが、表情や声のトーンと一緒に言葉を通して相手へ届く。
だから、同じ英文でも、誰が、どんな表情で、どんな気持ちで話すかによって、伝わり方は変わります。
AIは、意味を正しく変換できます。
しかし、話している本人の経験や感情を、自分のものとして相手に届けることはできません。
自分が知っている単語をつなぎ、少し不完全でも直接伝えた言葉のほうが、完璧なAI翻訳より相手の心を動かすことがあります。
そこには、言葉だけではなく、その人自身が現れているからです。
人とつながるために、特別な装備はいらない
今回の旅を通して、もうひとつ感じたことがあります。
人とのつながりを作るために、特別な装備は必要ありません。
高性能なスマートフォンも、最新のAIも、完璧な英語もいりません。
目が合ったら、少し笑う。
“Good morning.”と声をかける。
相手の話に興味を持つ。
自分の言葉で返してみる。
必要なのは、それくらいです。
英語力が高くなれば、話せる内容はもちろん広がります。
政治や社会、仕事、恋愛、将来の夢など、より深いテーマについても、自分の考えを細かく伝えられるようになります。
ただし、英語力は人とつながるために身につける「重たい装備」ではありません。
すでに生まれたつながりを、さらに深く、遠くまで広げてくれる力です。
つながりの始まりは、もっとシンプルです。
相手を見る。
声をかける。
話を聞く。
自分を少し開く。
そこにAIを挟む必要はありません。
AIは会話の代役ではなく、準備と振り返りに使う
もちろん、僕はAIを否定しているわけではありません。
むしろ、AIは英語学習や仕事で積極的に使うべきだと考えています。
例えば、
- 会議で使う表現を事前に確認する
- 自分の英作文を添削してもらう
- 言いたかったのに言えなかった表現を調べる
- 会話の内容を振り返る
- 発音や語彙を練習する
- メールや資料作成を効率化する
こうした場面で、AIは非常に優秀です。
会議の議事録作成や翻訳など、正確さとスピードが求められる仕事では、AIによる効率化は今後ますます必要になるでしょう。
ただし、人と関係を作る会話では、使い方を分ける必要があります。
AIは会話の代役ではなく、会話へ入っていくための準備役であり、終わった後の振り返り役です。
会話の前後では、AIを思い切り活用する。
しかし、目の前に人がいるときはスマートフォンを置き、自分の目と耳と声を使う。
この使い分けが、AI時代にはますます大切になると思います。
AI時代だからこそ、自分で英語を話す価値がある
AIが進化すれば、英語学習の価値がなくなる。
僕は、そうは思いません。
むしろ、AIが言葉を簡単に変換できる時代だからこそ、自分の声で直接伝えられる人の価値が、よりはっきりすると思っています。
情報を伝えるだけなら、AIで十分な場面は増えるでしょう。
しかし、人を理解したいとき。
信頼関係を作りたいとき。
一緒に笑いたいとき。
相手の考えに刺激を受けたいとき。
自分の気持ちを届けたいとき。
そこでは、本人が相手に向かって話すことに意味があります。
人は、言葉だけを聞いているのではありません。
表情を見ています。
声のトーンを感じています。
どれくらい真剣に伝えようとしているかを受け取っています。
会話では、言葉より先に、その人自身が伝わっています。
まとめ|AIは言葉を訳せる。でも、人との距離を縮めるのは自分の声
上海では、中国人のハンナさんと出会い、日本語が彼女の人生をどのように変えたのかを聞きました。
釜山では、“Good morning.”という短い挨拶から、ニュージーランド人の働き方や人生観に触れました。
そして、日本を愛するイタリア人とは、政治、移民、恋愛、将来の夢について話しました。
どれも、スマートフォンの画面を見ているだけでは生まれなかった経験です。
旅をするとき、誰とも話さないという選択もできます。
しかし、人と出会い、言葉を交わすことで、その土地に色が生まれます。
相手からインスピレーションを受け、感情が動き、自分の世界が少し広がります。
AIは、言葉を訳してくれます。
正しい英文も作ってくれます。
仕事や学習を、大きく効率化してくれます。
でも、人との距離を縮めるのは、最終的には自分の声です。
人とつながるために、特別な装備はいらない。
目の前の人に心を向け、自分の言葉で話せばいい。
英語は、試験で点を取るためだけのものではありません。
知らなかった人と出会い、相手の人生を知り、自分の世界を広げるための言葉です。
だから僕は、AIがどれだけ進化しても、自分で英語を話す価値はなくならないと確信しています。
むしろ、これからの時代だからこそ、
自分の言葉に、自分の表情と声と感情を乗せて届ける力が、より大切になっていく。
上海と釜山での出会いを通して、僕はそのことを改めて実感しました。
英語を「知っている」から、人とつながるために「使える」へ
英語は、覚えただけでは自分のものになりません。
実際に話し、言葉に詰まり、伝え方を修正しながら、少しずつ自分の声になっていきます。
RYO英会話ジムでは、レッスン中の発言を見える化し、その場で添削。自分が本当に伝えたかったことを、次は自分の言葉で話せるようにサポートしています。
AIを準備と復習に活用しながら、実際の会話では、自分の力で人とつながる。
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